内容
現在主流のコンピュータ(ファン・ノイマン型コンピュータ)と量子コンピュータの違いは何か 量子コンピュータで、何ができるのかが書かれている本です。
同じ部分
抽象的な計算という概念を物理的な現象に応用していること。
例えば、現在のファンノイマン型コンピュータでは、電圧の高低と2進数を対応して計算している。
量子コンピュータも量子の振る舞いを数字に当てはめて計算するという点は同じ
異なる部分
現在のコンピュータは1ビットを0と1として2進数で計算を行う。0と1電圧の高低によって決まる。
それに対して、量子コンピュータは量子ビットを使って1と0と1〜0の中間を利用して計算を行う。
矢印↓が0で↑が1、そこに矢印の角度が加わるイメージ。(角度は確率振幅を表したものである)
なので1ビットは2パターン、1キュービットは無数のパターンで表されることがわかる。
現在のコンピュータは0と1で確定的に結果を求めるのに対し、量子コンピュータでは確率が絡んでくるため確率的な結果が得られる。その答えに収束するようなイメージ。しかし、計算速度が速いので、何回も実行すればいいという考え方がある。
現在のコンピュータは抵抗やトランジスタなど電圧を制御する素子があるのに対して、量子を制御するための素子がまだ開発段階である。
量子コンピュータの何がすごいのか?
量子の性質(不確定さ:先ほどの角度の話)を考慮して、うまく利用することで計算量が少なく答えを出せること。
そのためには、特有のアルゴリズムが必要になる(量子アルゴリズム)。
処理速度が一定とすると計算量が少ないので計算スピードが上がる。
計算スピードが上がることで僕たちが受ける影響は多い。本書では例として、データの暗号化について書かれている。
現在のネットワーク上でのデータ暗号化は、鍵を2つ用意して1つを公開することによって暗号化し、もう一つの鍵で複合するという仕組みを利用している(公開鍵方式) 鍵を公開できる理由は、その鍵をみられても複合化するためにはとても時間のかかる計算(素因数分解)が必要だから大丈夫っしょということで安全性が担保されている。 しかし、量子コンピュータを使えば一瞬で計算できる。だからすごい
計算スピードが速いということは、汎用性がとても高い。 状況判断をする時には組み合わせが無数に存在する。その中で一番良さそうなものを僕たちも色々考えながら決めている。一般的にこのような計算量がとても多くて時間がかかるが、量子コンピュータだと一瞬でできるようになることが期待されている。
量子コンピュータの現在
商用の物が出てきている。例としてD-wave。
しかし、量子コンピュータが解けると期待されている問題を解決することは現状できないので、特定の問題に応用するという使われ方をしている。その特定の問題ってやつも機械学習で応用がきくので、期待されている
思ったこと
この本の大きな構成は
- 量子コンピュータを理解すること
- 何ができるようになるのかということ
以上の2つ
そのため
量子コンピュータを理解するのに必要と思われる三要素
- 計算って何
- 計算機って何
- 量子って何
を歴史的背景も交えつつサッと説明してくれているし、 量子コンピュータがすごいことを理解するのに(一番影響を受けそうな)暗号技術(秘密鍵、公開鍵)をわかりやすく説明してくれているなと思いました。
知らないことが山ほどでてきて、消化不良...
今回この本から知りたかったことは量子コンピュータの
- 計算速度が劇的に早くなる理由
- 今後のセキュリティ技術
計算速度が早くなる理由は、本だけではわからなかった。
いろいろ検索してみて
ここを参考にしてちょっとわかったような...
アルゴリズムが高速だから早くなる。
しかもそのアルゴリズムは量子の特性(重ね合わせ、絡み合い)を利用し、1ビットが完全に2通りではない(1キュービットというらしいが0と1と0と1の間を表す)。
1キュービットの説明はここがわかりやすかった。
0と1の間の状態は確率で表されるため、答えを得ることができないが、その確率をうまく扱えば、超並列的な処理を行うことができる。
いかに並列性を保った状態で計算を進められるかに注目したのが量子アルゴリズム。
後者の部分に関してはワンタイムパスワードのような原理かな?とボヤッと理解できた。
しかも量子の性質上、送った量子は必ず1人しか受け取れないことから盗聴されていることに気づけるらしいwすごい
量子コンピュータが登場した場合、僕のようなプログラマは何をする必要があるのか考えてみた。
量子コンピュータとノイマン型コンピュータが混在する時に必要とされる暗号化技術はどうなるのか?
使っている人にとっては違いはないかもしれないけど...制作にとってはたぶん大きな変化になりそう。
暗号技術の未来についてはこんな記事がありました。
新しい言語が出てきたりとかするでしょうが、それはほとんど今と変わらないし、現状では技術の原理を追い続けるというごくごく普通の答えにいきつきました。
疲れた...

- 作者: 竹内薫,丸山篤史(構成)
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2015/05/16
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る